子どもの靴、サイズだけで選んでいませんか? 成長期の足部計測が大切な理由
2026.4.10
「この靴、○○cmだから大丈夫かな」——靴を選ぶとき、サイズの数字だけを見て決めていませんか?
部活や少年団、外遊びで運動量が増えてくるこの時期。子どもの足は日々成長していて、実は「サイズが合っているように見えても、足に合っていない靴」を履いているケースは珍しくありません。
お子さんが「足が痛い」「すぐ疲れる」と言っても、何が原因なのか、どんな靴を選べばいいのか、よくわからない……そんなお声をよくお聞きします。
この記事では、成長期の子どもに足部計測が大切な理由、合わない靴が足に与える影響、靴選びのポイント、そして整形外科でできることについて、わかりやすくお伝えします。
なぜ成長期の子どもに足部計測が重要なのか
子どもの足の骨は、まだ成長の途中
赤ちゃんのころ、足の骨の多くは軟骨(なんこつ)でできています。硬い骨へと変化していく「骨化(こっか)」のプロセスは、男の子で18歳ごろ、女の子で16歳ごろまで続くとされています。
つまり、小学生・中学生の子どもの足は、まだ成長の途中にある、とても柔らかくデリケートな状態です。大人と違い、外からの力に対して変形しやすい時期でもあります。
また、足の縦のアーチ(土踏まず)は、歩いたり走ったりする経験を積みながら徐々に発達するものです。足に合った靴を正しく履くことは、この自然な発達を妨げないためにも意味があります。
成長のスピードという点でも、2歳から12歳ごろの子どもは年間約1cmのペースで足が大きくなると言われています。「半年前に測ったサイズ」がすでに合わなくなっていることは、決して珍しくありません。
足長(サイズ)だけでは測れないものがある
靴を選ぶとき、多くの人が「足長(かかとからつま先までの長さ)」、つまり「何センチか」だけを気にします。でも実際の足の形は、それだけで表現できるものではありません。
足には「足幅(ワイズ)」「足囲(足の周囲の長さ)」「甲の高さ」「かかとの幅」「指の形や長さ」など、さまざまな要素があります。さらに、右足と左足でサイズや形が異なる「左右差」も、多くの人に見られます。
同じ「22cm」の靴でも、メーカーや形によってフィット感はまったく異なります。「サイズは合っているのに靴ずれができる」「なんとなく歩きにくい」という場合、こうした足の細かな特徴が原因になっていることがあります。
子どもに合わない靴を履き続けると起こりうること
もちろん、靴が合わないからといって必ず何かが起きるわけではありません。ただ、以下のようなトラブルの一因になりえると、整形外科や足部専門機関では指摘されています。
靴ずれ・マメ・爪のトラブル
靴と足が正しくフィットしていないと、特定の部位に摩擦や圧力が集中しやすくなります。靴ずれやマメ(まめ)、爪が変形するといったトラブルは、サイズが合わない靴が原因の一因となることがあります。
特に小さい子どもは、「靴が窮屈(きゅうくつ)だ」「こすれて痛い」という感覚をうまく言葉にできないことも多く、保護者が気づかないまま過ごしてしまうケースがあると言われています。
足が疲れやすい、踏ん張りにくい
足のかかとがしっかり固定されていなかったり、足幅に対して靴が大きすぎたりすると、足が靴の中で動きやすくなります。その結果、足の筋肉が余計な力を使うことになり、疲れやすさにつながる場合があります。
また、足の指が十分に使えないと地面をしっかり蹴り出しにくくなり、運動時のパフォーマンスに影響を与える可能性も指摘されています。
スポーツ障害・足部への影響
サッカーや陸上、バスケットボールなど、走ったり跳んだりを繰り返すスポーツでは、足への負担が大きくなります。整形外科の観点からは、不適切な靴(サイズが合わない、クッションが不十分、など)はスポーツ障害を引き起こす背景要因の一つになり得ると考えられています。
すべての足のトラブルが靴のせいとは限りませんが、「足に合った靴を選ぶこと」はスポーツ障害の予防の観点からも意味のあることとされています。
偏平足(へんぺいそく)と足のアーチ
成長期の子どもに「偏平足(土踏まずがない状態)」が見られることは珍しくありません。多くの場合、成長とともに自然にアーチが形成されていきますが、痛みや疲れやすさが続く場合や、かかとが内側に傾いている場合などは、専門家への相談が勧められます。
子どもの靴選びで見ておきたいポイント
靴を選ぶときに参考にしたいポイントを、整理してご紹介します。ただし、これらはあくまで一般的な目安です。実際にはお子さんの足の形や状態によって「合う靴」は異なりますので、計測のうえで確かめることが大切です。
① つま先の余裕(捨て寸・すてずん) かかとをしっかり合わせた状態で、つま先から靴の先端まで1㎝程度の余裕があることが目安とされています。「つま先が当たる」靴は小さすぎます。一方、余裕がありすぎると足が靴の中で滑りやすくなります。
② かかと周りの硬さ 靴のかかと部分がしっかりとしていると歩いているときのかかとの動きを安定させます。かかとがぱかぱかと浮く靴は、足が安定せず疲れやすくなる原因になります。
③ 足幅(ウィズ) 同じ足長でも、幅の広い子・細い子がいます。幅が合っていないと、側面から圧迫されたり、逆に靴の中で足が横に動いたりします。試着して確認することが勧められます。
④ 靴が曲がる位置 靴の曲がる部分が、足の指の付け根(MP関節)あたりにくる靴が歩きやすいとされています。土踏まず部分で曲がってしまう柔らかすぎる靴は、かえって足への負担になる場合があります。
これらのポイントはあくまで出発点です。「見た目のサイズが合っていても、足の特徴と靴が合っているか」は、実際に足を計測して初めてわかることも多いです。
当院でできること
足部計測と、足の特徴の確認
当院では、足の長さ(足長)・幅・左右差などを計測し、お子さんの足の状態を確認することができます。数字だけでなく、足の形、アーチの様子、かかとの傾きなどの特徴もあわせて評価します。
靴選びの考え方のご提案
計測した結果をもとに、そのお子さんに合いやすい靴の選び方についてご説明します。「どこで何を基準に選べばいいかわからない」という保護者の方に、具体的な判断のヒントをお伝えできます。
必要な場合のインソールの提案
インソール(中敷き)はすべてのお子さんに必要というわけではありません。足の状態、症状の有無、活動内容などを総合的に判断したうえで、必要と考えられる場合に提案いたします。
当院では、理学療法士がオーダーメイドインソールの作成を行っています。ご希望の方は診察時にご相談ください。なお、インソールは足のサイズに合った靴と組み合わせることで効果を発揮するため、靴選びとセットで考えることが大切です。
「子どもの足が心配」「どこに相談すればいいかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談いただけます。
このようなお子さんは、一度ご相談ください
以下のようなサインが気になる場合、足部を専門的に確認する機会を持つことをおすすめします。
・運動後に足や膝がよく痛むことがある
・靴ずれができやすい
・靴が当たって痛いと訴える
・動くと足が疲れやすい
「大したことないかも」と思っていても、早めに状態を確認しておくことで、安心できることは多いです。成長期だからこそ、気になったときが受診のタイミングです。
まとめ
成長期の子どもの足は、まだ骨が軟らかく、形も大きさも変化し続けています。だからこそ、靴はサイズの数字だけでなく、幅・形・甲の高さ・かかとのフィットなど、足全体の状態に合わせて選ぶことが大切です。
合わない靴を長く履き続けることは、靴ずれや疲れやすさ、スポーツ時の不快感などにつながる一因となり得ます。大きくなるからと大きめを選びがちな気持ちもよくわかりますが、成長に合わせてこまめに計測・見直しをすることが、足の健やかな発育を支えることにつながります。
当院では、足部計測をもとに、そのお子さんの足に合った靴選びの考え方をご提案しています。気になることがあればどうぞお気軽にお声がけください。



